「なんでもないよ。
…ほら葵斗、咲花と遊びに行くんでしょ?」
私は咲花の背中を葵斗の方に軽く押す。
「…私、今日は香純と一緒にバスケ部の方に行こうかな…」
「えぇ!!?」
私を心配した咲花の発言に、葵斗は涙目になってこちらを見てくる。
たしかに、桃奈さんの入部を一人で受け入れるのはしんどいけど…
さすがに、咲花とのデートを楽しみにしていた葵斗が不憫だ。
「何言ってんの、咲花。
私は大丈夫だから、葵斗と遊んできて。」
私がまっすぐ咲花の目を見てそう言うと、彼女は数秒黙り込む。
「…わかった。
でも何かあったら絶対に相談してね?」
私の手をぎゅっと握ってそう言う咲花。
可愛い。優しい。大好き。