「お…おーうが!
ほらほら、早く!部活行くんでしょ?」
「おい、香純…」
「私は大丈夫だから!
…落ち着こう?ね?」
私はなるべく明るい声でそう言い、桜河の腕を引いて教室に連れ込む。
「おいおい、見せ物じゃねぇぞー。
散れ散れ!」
桜河が教室に入ったのと同時に、葵斗が廊下に出て行って、野次馬を散らす。
とりあえず安心だけど…
教室に残っていた人達からの視線が痛い。
教室に入ってもなお、柊吾と桃奈さんを睨み続ける桜河。
「桜河、怒ってくれてありがとう。
…私、平気だよ?」
私がそう言って桜河の背中を摩ると、彼は心配そうにこちらを見つめる。