「─────香純ちゃん?」
後ろから聞こえた優しく心地よいその声に、私は勢いよく振り返った。
「ヨシ子ばあちゃん…」
「そんなとこ突っ立っとらんで、家に上がりなさいな。」
優しく微笑むヨシ子ばあちゃんに安心してしまったのか、何故か涙が溢れそうになる。
「ううん。いいの。遠慮しとく。」
私から言い出した事なのに、のこのこと桜河の家に行くことなんてできない。
首を横に振る私に、ヨシ子ばあちゃんは何かを察したのか、優しく手を握った。
「だったら…時間あればお店においで。
じいちゃんが今、新商品の試作しよんよ。」