「ごめん、桜河…」
「何回謝んだよ。
…柊吾と仲良くやれよ。」
そう言って家の中に入って行く桜河を、私は呼び止めることさえ出来なかった。
〝柊吾と仲良くやれよ。〟か…
ごめん、桜河。
もうわかんない…
柊吾は、本当に私を好きなんだろうか。
もちろん、柊吾の気持ちを信じていないわけではない。
…だけど、どうしても桃奈さんの存在が頭をよぎってしまう。
あの合宿の日、体育館倉庫で抱き合う二人の姿が忘れられない。
「…どうしたらいいかな。」
もうそこにはいない桜河に、ポツリと呟く。
わからない。
でも、誰にも相談なんてできない。