「────ちょっ……」








「─────スランプって…

…どう抜け出せばいいんだ?」










突然ポツリとそう呟いた桜河の背中は、何だか少しだけ小さく見えた。










「スランプ…?」






「あぁ。

最近、自分のフォームが全く分からねぇ。」











自嘲的な笑みを浮かべた桜河。





今日のあの泳ぎはそのせいか…




もしかして…

最近やけに練習量増やしてたのも…






何かいいアドバイスをしてあげたいけど…

私自身、スランプを経験したことがないし。










「桜河…

相談する相手間違えたんじゃない?」










そもそも私、スポーツ経験って中学の部活動くらいだし…

何かひとつの事にそこまで没頭したこともないし…





…完全に人選ミスですよ。