「私、あんたのその顔嫌い。」
私が桜河の目を見据えてそう言うと、彼は驚いたように目を見開く。
「悪かったな。生まれつきだ。」
憎たらしい顔でそう返してきた桜河。
しかし今の言葉で私の思いが伝わったのか、桜河の顔にあの笑顔はもうなくなっていた。
そんな桜河に、私も胸を撫で下ろす。
「…香純、今日の夜って時間あるか?
相談があるんだけど。」
さっきまでの雰囲気とは一転して、桜河は真剣な表情でこちらを見て言った。
相談…。
このタイミングなら水泳のことかな?
私もいつも桜河には助けられてるし、それで彼の悩みが少しでも減るのなら…