いつもの桜河からは想像できないほどの真剣な表情。 じっと目を瞑って大きく息を吐くのが、試合前の桜河のルーティン。 だけど… いつもより少しだけ落ち着きがないのは…気のせいかな? 「声かけなくていいの?」 隣に座る柊吾がそう尋ねる。 「うん。 今、集中してるっぽいし…。」 「そっか。」 それだけ答えて、私は再び桜河に視線を向ける。 がんばれ、桜河。 飛び込み台に立つたくましい背中を見つめて彼の勝利を祈った。