NO side


その日は、風の強い日だった。


「近藤局長!」


夕餉を楽しんでいた天李たちの元に、見廻りをしていた平隊士が慌てた様子で飛び込んできた。


「どうした!?」


一気に場が緊張に包まれる。


「芹沢局長が…!」


「またあいつか!」


土方が立ち上がったのを合図に、全員が準備を始める。


一歩屯所外に出ると、焦げくさいかすれた臭いが身を包む。


遠くで、赤黒い炎がごうごうと燃えていた。