「…なるほどね。それでその芹沢という人が手を出してしまったのね」


「ああ。力士を殴り倒したんだ。まあそれだけで終わっていたらよかったんだけどな…その後力士が仕返しに来たんだよ。その時…」


「あの野郎が、力士を斬っちまったんだよ」


「うわっ!」


突然の低い声に、平助がびくりと振り返る。


土方さんがゆらりと立っていた。


…やつれているな。


「永倉…」


何ぺらぺらと喋ってんだと言わんばかりに睨まれるが、肩をすくめておく。


ギラギラとした目をした土方さんは、まるで鬼のようだ。