おどおどと先輩に声をかけると
先輩ははっとしたように
けど、どこか呆けたように呟いた


「……あ、ご、ごめん……
つい……かわいくて見惚れてた」

「……え?」

「あ」


鴻鳴先輩が口が滑ったと言わんばかりの表情で
慌てて口を抑える

段々と赤くなっていくその顔
つられて私も赤くなる


…………聞き間違いじゃ、ないよね?


先輩、今
かわいいって言ってくれたよね?


……


沈みかけてた気持ちが浮上する



『かわいい』

……先輩のその一言がこんなに嬉しくて



慣れないヒールの靴も
動きづらいから普段はあんまりはかない
大人っぽいロングスカートも
時間をかけて一生懸命可愛くアレンジした髪も


朝早く起きて色々準備して
頑張って良かったって心から思った