初めはこちらの出方を窺うようにおとなしめにしていた彼女だったが、だんだん雰囲気に慣れてくると色々話すようになっていった。そんな彼女が可愛らしくて、つい無意識に頬が緩んでしまう。
「え、水城さんってホラー映画好きなんですか? 実は私もなんです。今、公開されてる“漆黒の海の死体”が気になってて……」
「じゃあ、今度一緒に観に行かないか?」
「ほんとですか、嬉しい!」
次につなげる口実ができたところで、俺はイルブールのことを彼女に尋ねた。しかし、今まで饒舌だった彼女だったが、ピアノの曲についてや仕事の話をすると、どことなく歯切れが悪くなった。
この違和感はなんだ?
気のせいだ。そう自分に言い聞かせて話を続ける。
「先日、店で弾いていた曲、あれ、なんて曲? うちの店にもピアノ演奏者がいるんだ、今度リストに入れるようにしたい」
「え? ピアノ……?」
彼女が食事をする手を止め、笑顔もなくきょとんとした目で俺を見つめた。
「え、水城さんってホラー映画好きなんですか? 実は私もなんです。今、公開されてる“漆黒の海の死体”が気になってて……」
「じゃあ、今度一緒に観に行かないか?」
「ほんとですか、嬉しい!」
次につなげる口実ができたところで、俺はイルブールのことを彼女に尋ねた。しかし、今まで饒舌だった彼女だったが、ピアノの曲についてや仕事の話をすると、どことなく歯切れが悪くなった。
この違和感はなんだ?
気のせいだ。そう自分に言い聞かせて話を続ける。
「先日、店で弾いていた曲、あれ、なんて曲? うちの店にもピアノ演奏者がいるんだ、今度リストに入れるようにしたい」
「え? ピアノ……?」
彼女が食事をする手を止め、笑顔もなくきょとんとした目で俺を見つめた。