ハァ、もうめちゃくちゃに酔いたい気分だ。

そんな風にやさぐれかけていた時、彼女が思わぬことを口にした。

「あの、折り入って相談があるんですけど……愛美と恋人同士になりたくありませんか? 方法がないわけじゃないです」

「は? なんだって?」

完全に足元を見られている。なんだか悪徳商法に捕まったみたいな気分だ。そうわかっていたにも関わらず、俺は彼女の策に耳を傾けることにした――。


「ふぅん、なるほどね、君は父親に恋人とのことを反対されているのか」

正直、彼女に恋人がいるということにホッとした。この縁談はなかったことにはなるが、やはりイルブールの彼女に会えなかったというがっかり感は否めなかった。
ようやく落ち着きを取り戻した俺は、再び料理に手をつけなから話を聞いた。