二人でベッドへ入って、君を抱き締めると、君は話し始めた。

 「あのね、私、とてもとても頑張ってた。私の仕事って、勉強ばかりでさ。いつもいつもそればかり。それで、やっぱり女の人がいない。だから、マウント取りやすかったったんだろうね。」

 「いるね、そういう男。」

 「理系ってそこがかなり酷くてね。反撃すれば陰湿な嫌がらせ。しなくても嫌がらせ。平気で示し合わせて嘘をつく。」

 「それで?」

 「目的、見失ったの。私、頑張れなくなった。」

 優しく君の頬を撫でる。

 「きっと、今度の会社もそうなると思うけど、それでも、もう一度って思ったの。今でもどうしたら良いのか分からないけれど、それにまた傷付くかもしれないけれど、それでも、諦めたくない。」

 「ひな、優秀だった?」

 「うん。私、回りに合わせないから。それに、サボらない。でも、それが許せないんだよね、きっと。」

 「出来る人は、攻撃されるからね。」

 「その上、見た目もあって攻撃は酷くなった。でも、私はそれを受け入れたくない。」

 「ひなが、何度やられても立ち上がるなら、ひなの事支えるよ。」

 「うん。ごめんなさい。本当は奥さんになって、望さんを支えて適度に働ければ良いのに、また大変な事になるかもしれない。」

 「でも、ひなが望む物を。」

 君は涙を溢しながら頷いて。

 「そんなことしないって、私は決めていて、そんな簡単な事なのに。どうして。」

 「うん。」

 「望さんみたいな、傷付けない人もいるのに。」

 「ひな、今は独りじゃないし、俺が味方だよ。」

 ちょっと笑って君は、頬を染めて言った。

 「私は、私を大切にしてくれる人を選んだんだ。」