右城瑞季に纏わる記憶はない。でもこれは、直感だ。


ーー“片翅”だ。


 同じように並んで空を見る。果てのない空を。この向こうにきっと、エデンがあるのだ。



「……ねぇ右城くんは。この空の向こうに、何があると思う?」


 少し考えるようにして。


「ーー楽園。何にも縛られず、自由に生きていける。……片翅みたいだね。あなたって」




 柔らかな風に包まれながら微笑んでくれた。天辺から爪先まで甘い――砂糖菓子で出来ているような人。それくらい、私には貴重な人だ。