どこまでも青い吸い込まれそうな空が出迎えてくれた。


――片翅だったら。


きっとここまで来れなかった。



「かなた」

「瑞季も物好きだね」

「かもしれないな。それでも、無理してつるむ人間関係より、ずっといい」

「そうね」


こんな発言をすれば、そんなんじゃ駄目だとかお叱りを受けるに違いない。世の中そんなに甘くないと正当化される。――いつだって、正しさだけを人は突きつけて。それ以外を排除しようとする。




実に馬鹿馬鹿しい話だ。そんな生き方強いられるくらいなら、底辺でも、片隅でも構わない。


瑞季は思い出したように言った。


「朝駅前でこれもらった」