「そんなに心配してくれたんだ?
なら、さっきの続きでもする?」

さっきの、続き?

思考が追い付く前に、肩にかかった私の髪を指に絡めて遊ばれている。
なんて色っぽい。
その仕草に、つい見入ってしまう。

このまま流れに身を任せたら、どうなるんだろう。
さっきの続きって言ってるのに、さっきとは違う。
逃げようと思えば全然逃げられる。

でも彼は、今まで何人もの女性を泣かせてきている。

「わかってないのは楓馬君のほうじゃないですか?
女は、あなたが思うほど弱くないんですよ」

「どういうこと?」

「身体を許しても、心は簡単に開かないってことです」

「ここで抱いても、見せかけの愛ってこと?
じゃあ、やめた。
俺が欲しいのはそんな安い物じゃない。

でも…」

軽く唇が触れた。

身を引いたときにはもう、したり顔の彼が見えた。
ほんの一瞬なのに、しっかりとその感触が残ってる。