拓磨はそう言って、また私にキスを落とす。

その甘い表情に、私までとろけそうになる。

お仕置きとか言ってるけど、全然お仕置きになってないよ…。


しばらくすると拓磨は、おもむろに私の首筋に顔をうずめた。


「っ…」


拓磨が口づけした部分が、じんわりと熱を帯びる。


「これで心春は俺のもの」


拓磨は熱を帯びたところを指でなぞった。


「っ…」

「消える前に、またつけるね」


こんなことしなくても私はとっくに拓磨のものなのに。


拓磨は満足したのか上体を起こす。

やっと解放された。

そう思っていたら、拓磨はさっき奪った私のスマホを触り始めた。

何をしているのか気になるけど…。

何か言ったところで聞く耳がないことは分かってるから、返してくれるまでそっと拓磨を眺める。


「立花の連絡先消しておいたから」

「…え?」

「ついでに男らしき奴らのもね」


そう笑顔で囁いて私にスマホを渡した。

そのまま体育館倉庫から出て行こうとする拓磨。


「あ、マンガは俺が立花から返してもらっておくね?」

「う、うん…」

「あと今度、俺以外の男見てたら…」

「なに…?」





「今度はこの程度じゃ済まないから」





そう言って拓磨は、体育館倉庫の鍵を開けて出て行った。

最後に見た拓磨の表情は無機質で、ピクリとも笑っていなかった。


「ふふっ」


拓磨は狂ってる。



なんて。

そんな拓磨に溺れてる私も、相当狂ってるのかもしれない。






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