「…え、なんで立花くん?」


どこから立花くんが出てきたのか見当もつかない私。


「さっき、立花と何話してたの?」


あー、そういうことか。

立花くんと話しているとこ、見てたんだ。


「別に大した話なんて」

「ちゃんと言わなきゃ、何するか分かんないよ?」


拓磨はそう言いながら、体操服の中に手を忍ばせてきた。


「…ちょっ」

「ちゃんと俺のもので居てもらわないと困るよ」


拓磨のもう片方の手が私の頬に触れた時、私のジャージのポケットに入っていたスマホが震えた。


「誰?」


拓磨の低い声が響く。


「今はいいよ」

「いいから、誰?」


明らかに不機嫌そうな拓磨。

拓磨に言われるままスマホを見ると、立花くんからのメッセージが入っていた。

…間が悪すぎる。


「見せて」


油断している隙に、あっけなくスマホを取り上げられてしまった。

非常にまずい気がする。


「ふーん、立花ね」

「違うよ…?マンガ貸してたから、そのことで」

「悪い子にはお仕置きしなくちゃね」


拓磨はそう言いながら、積み重なったマットの上に私を押し倒した。

それなのにどこも痛くなくて。

私の頭と腰を、拓磨が支えていてくれた事が分かった。

強引なくせに優しい拓磨。


「お仕置き…って何するの?」

「心春は何されたい?」


拓磨の一段と低い声に、少しだけ恐怖を感じる。


「お仕置きなんてイヤだよ…」

「ダメ。もう他の男に目もいかないぐらい、俺に夢中になって」