「はずさないな、ほんと。オマエってやつは」

「なにー? 花火の音で聞こえなかった」


 今度は耳を澄ましたら、


「まあ。そういうとこも。……好きだけど」


 ってボソリと言ったのが聞こえて。


「えっ、うん。……ありがとう」


 とても照れくさくなる。


「そこだけ聞き逃さないのかよ」


 ひととおり花火を楽しんで

 縁側に連れて行かれて座っていると、


「ほらよ」


 桝田くんがラムネを持ってきてくれた。


「わあー! ありがとう」

「りんご飴もある」

「すごい。なんか、花火大会とかお祭りみたい」

「だろ?」


 ねえ、桝田くん。

 アナタは、どれだけわたしを楽しませたら気が済むの?


「……今日が終わらなければいいのに」

「はあ?」

「すごく。幸せだなあって」

「アホか。これから積み重ねてくんだろ」


 …………!


「俺は、まだまだコトリとやりたいことあるから。勝手に立ち止まんじゃねーよ」

「……うん」