「みんなでやりましょう! 一宮さん、帰っちゃいました?」

「は?」

「一宮は呼べばすぐに来るよ。最短3分くらいで」


 どこに住んでいるの?

 戦闘モノのヒーロー並みにはやいな?


「待て待て。2人きりで……」

「わたし、バケツに水、くんできます」

「それじゃあボクは花火をセットするね。一宮にはヨシヒサが危ないことしてないかの監視役になってもらうか」

「オマエらなあ。勝手に進めやがって」


 呆れているが止めない桝田くん。


 なんだ。


 桝田くんも、みんなで花火できるの嬉しいんじゃん。


「綺麗だね……!」

「フツウだな」

「綺麗だよ!!」


 家庭用花火のクオリティとは思えない花火に興奮してしまう。


「……オマエの方が。綺麗」

「え、なんか言った?」


 桝田くんの声が、花火の音で、聞こえなかった。