「桝田くん?」


 じっと、わたしを見つめている。

 なに?


「…………馬子にも衣装」

「は!?」


 失礼な。


「いや。似合うだろうなー、とは。思ったけど。……ここまでとは」


 そういう桝田くんの顔が赤くなっていく。


「なっ……に。それ」

「下で待ってろ」

「え?」

「いいから」


 扉を開けると、背中を押され、部屋から追い出された。

 なによ。


「けなすか褒めるかどっちかにしてよ」


 リビングに向かうと、ノアさんがいた。


 勤務は夕方までのはずなのに、わたしが来たから晩ご飯作って片付けまでしてくれたから帰るのが遅くなっているのだろう。


「へへ。せっかくだから、もうちょっといようかなって」


 桝田くんはノアさんのことシッシッと邪魔がっていたものの、それでも追い返さないところを見て、仲いいんだなって。

 年の離れた兄弟みたいでいいなって、思った。