「ねぇ、向井くんはどうして城田さんと付き合わないの?」


舞香の質問に答えたのは、彩音だった。


「タイプじゃないんだよ」


「城田さん、すごくキレイだけど?」


「だからタイプじゃないんだって。可愛い系が好きかもよ、舞香みたいな」


「私?私は__あんなカッコいいひとは逆に無理だな。緊張しちゃう」


謙遜とも取れなくはないけど、嫌味には聞こえないから不思議だ。


「たぶんなんだけど、向井くんも同じ中学だったでしょ?だから、安奈のこと気づいてるんだと思うよ。確かにキレイだけど、優しくないって」


私の意見に、2人は深く頷いていた。


いくらキレイでも、心が腐ってたら相手にしないだろう。


それなのに安奈は果敢にアタックしている。


「彼女、いるのかな?」


「なに舞香、やっぱり気になるのー?」と彩音が囃し立てる。


「ううん、そんなんじゃなくて、あれだけカッコいいなら彼女いても不思議じゃないよね?」


「気になる子はいるって噂だけど、バスケが恋人なんだって」


「ふーん」


舞香が気のない反応をする。


私はその横顔を眺めながら、きっと向井くんレベルには、舞香みたいな可愛い子がお似合いなんだろうなぁ。


この可愛い転校生なら仕方ないよね。


なんて、1人で納得していた。