私がどれだけ誘っても、いつも断るくせに。
でも今日は、舞香がどうしてもご馳走したいって誘ったからついてきたんだろうけど。
口の周りをチョコレートソースで汚して夢中で食べている。
たぶん、こんなおしゃれなもの、食べたことないんじゃないか?
「優子の抹茶も美味しそう」
そう言う舞香は、ブルーベリーのパンケーキを食べていた。
「一口、食べる?」
「うん、みんなでシェアしようよ」
舞香お得意の『シェア』をすることになり、私たちはお互いのパンケーキを分け合う。
「シェアっていいね。色んな味を食べられるし」
「食べものだけじゃないよ、色んな意味があるんだから」
「あっ、シェアハウスとか言うもんね」
納得しつつ、パンケーキを食べることは忘れない彩音。
「持ち物をシェアしたり、色んなものを分かち合えるっていいと思わない?」
「喜びも3倍になるしね」
うんうんと、私にはあまり見せない満面の笑みを浮かべる親友の顔を見ながら、私はこう思った。
喜びが3倍なら、悲しみは3分の1?
確かに心の内を包み隠さず話し合えたら、かけがえのない関係になれるだろう。
包み、隠さず。
ううん、私には無理だ。
絶対、誰にも言えない。