彩音はああ見えて、プライドが高い。
お昼を抜いて家計を助けているようで、お昼時間になるとどこかへ行ってしまう。
初めはついていこうとしたけど、彩音本人がそれを望んでいない。
親友の私にでさえ、同情されることを嫌っている。
たびたび安奈に標的にされかかるが、安奈は気に入らない子がいれば徹底的にイジメ抜くから、他にターゲットがいればその間は平穏でいられるんだ。
私たちにとっては『生贄』みたいなもの。
その辺の難しさを、舞香は分かってくれたようで私は胸を撫で下ろした。
きっと舞香はお金持ちだ。
海外で暮らしていて家政婦がいるくらいだから。
「ねぇ、どうして向井くんは城田さんと付き合わないの?」
それは、放課後に3人でカフェに来た時のこと。
いつも彩音は家のことがあるからと帰ってしまう。
ましてや、お金がかかるお店には入らない。
図書館とか、モールをブラついたりするだけで、一緒にクレープを食べたり買い物をしたりと、友達同士で楽しむ遊びをしたことがない。
安奈はいつも取り巻きに囲まれて派手に遊んでいたので、その点については寂しいなと思っていた。
「うわぁ、美味しそう!」
目をきらきらさせて、彩音がパンケーキを頬張った。
なんだか、私といる時より嬉しそうなんだけど?