私が最初におかしいと思ったのは、小学四年生のとき。
同じクラスの彩音が、同じ服ばかり着てくるからだ。
そして誰かが言ったんだ「臭い」と。
軽くからかっただけかもしれないけど、何も考えずに口走るから余計に残酷だ。
次第にクラスから避けられるようになった彩音。
その頃から仲が良かった私は、よかれと思って自分の服をプレゼントした。彩音は喜ぶとばかり思っていたら__。
『こんなの、要らない!』
服を投げ捨てられ、私は泣いた。
でも、あの時の彩音の泣き顔は忘れられない。
とてもひどいことをしたんだと思い、彩音に謝った。私にできることは、常に味方でいることだ。
いつも彩音を守り、側にいることで自分自身も強くなったような気がする。
それでも『貧困』という匂いは消えはしない。
兄弟たちの世話に追われ、家事をこなし、身なりにかまうことない彩音は、なにかとからかいの的になる。
中学になると制服に変わったため、それほど見すぼらしさも目立たなくなったけど__安奈はすぐに嗅ぎつけたんだ。
やがてイジメのターゲットにされた。
私は必死で親友を守った。
どんな手を使っても、守り抜いたんだ。