「これが、小二のときの、これが小三のときの……九年間、ずっと想だけに渡したかった。それでこれが、今年の分……か、彼氏の、想へ作った。……もらってもらえますか……?」
そろりと、うかがい見るような美結の目線。全部可愛い。全部ほしい。
「もちろん。大事にいただきます」
僕がそう言うと、美結はほっとしたような顔になった。
「あっ、でも食べきれなかったら想のお父さんとかお母さんとか、里宇ちゃんにもあげちゃっていいからね? 一つ一つ、量は少なめに作ったつもりだけど――」
「何言ってんの? あげるわけないよ」
「え?」
「全部俺の、って言ったろ?」
「……っ、想、なんでそんな嬉しいことばっかり言ってくれるの……」