「男子であげたいって思ったのは想だけだから……友チョコも、男子にあげたことはないよ?」

………。

「想っ? どうしたのっ?」

こてん、と、僕の額が美結の肩に落ちた。

なにそれ……嬉し過ぎ。

あー、自分だけ特別扱いされているのが嬉しいとか、僕、性格悪いなあ。

……あまり里宇のことも言えないかもしれない。

「じゃあこれは――美結にとって初めてのバレンタインみたいなものか」

「あ……そう言われればそうだね」

美結が、テーブルへ向き直った。