「……美結の髪で顔面うたれるの、結構痛かった」

「う……ごめん~、想に呼ばれるとつい嬉しくて、すぐ顔見たくなって」

可愛いので全部ゆるした。

「どうしたの? 美結。急に……」

僕から問いかけると、美結は「うん」と言って、少しだけうつむいた。

「そのくらい変わっちゃうくらい、時間、経ったんだなあ、って。……感慨にふけっちゃった」

「………」

確かに、時間はたくさん流れた。

でも、その総てが僕たちには必要だったと思っている。

――ここに、たどりつくためにも。

こうして、手をつないで歩くためには。

「……でも、ずっと傍にいられた」