日曜は午前練だけだったから、昼に帰った僕は午後から机に向かっていた。

それと同じタイミングで雨が降って来た。

雨音を聞きながら、テキストをめくる。

当然のように、僕が成績を落とすわけにはいかない。

美結がそれを不安に思っているからだ。

ひと段落したら美結に電話する気だけど。

そう思って机の上に置いていたスマホが、着信を告げた。

あ、美結だ。じゃあ僕も少し休憩っと。

「もしもし? 美結?」

僕が慌てて出ると、けれど聞こえて来たのは切羽詰った美結の声だった。

『想……っ、助けて……っ』

え?

「美結っ? なにどうした? どこにいる?」

『しょう、がっこう……想、私……ここの娘じゃなかった……っ』

そのまま、僕は土砂降りの外へ飛び出した。


――知ってしまったんだ。美結は。