「想―? どうしたの? ぼうっとして」

「………」

「想?」

美結に顔を覗きこまれて、僕の意識はハッとした。

「……あ、うん、ごめん、なに?」

「や、なに、はこっちだよ。なんか考えごと?」

「あー、うん、ちょっと……深層心理の問題を」

「深いね……。私も一緒に考えようか?」

「……うん。俺の答えが出たら、美結にも考えてもらいたい」

「うん? わかった」

歩いているうちに、いつもは駅につかないと見ない顔と出くわした。