ベンチに腰を下ろすと、さっそくこいつが話しかけてきた。

「あのさ、お願いがあるんだけどいい?」

「何?」

「あんたとかこいつじゃなくて優希って呼んで欲しい…んだ」

「分かった。話ってそれだけ?」

「いやまだ!本題ここから!その…由梨ちゃんが何で男嫌いになったのか知りたくて…」

「…」

「話しにくいなら話さなくていいよ。でも、俺は由梨ちゃんが好きだから知りたいって思って…。少しでも可能性があるなら頑張りたいんだ」

優希はいつになく真剣だ。

そのまっすぐな瞳が本気だと語っているようにしか思えなくて、私は話すことにした。


どうしてあのルールを作ったのかを
どうして男嫌いになったのかを––––




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