まあ確かにお母さんの言う通りだ。娘の制服姿を見たくない父親なんているはずがない。
「お父さん、帰ってきたらなんて言うかなぁ」
「初めての高校生活だから聞いてくることは、ひとつじゃないかもしれないわよ」
「きっとそうだね」
いっぺんにたくさん質問してくるお父さんを思い浮かべて、あたしはお母さんとくすっと笑った。
「お父さんね、花蓮が生まれた時も結構あんな感じだったのよ」
「えっ? そうなの?」
「ええ、そうよ。お母さんが花蓮を生んだ後は、もう『俺と緑子の娘は、予想してた通り、世界一可愛いんだな』って」
「世界一って……。お父さん、大袈裟だなあ……」
親バカのお父さんの言いそうなことだ、とあたしは思った。
「でもそれくらい、お父さんは花蓮が大好きなのよねぇ」
だからって、世界一なんて有り得ないよ。
麗羅だって、あたしより可愛いはずなんだし。