「佐藤ちゃん」
そして次は、私のところへと王子様スマイルを向けてやってくる。
これはこれで、掘田くんの優しさなんだ。
チャラい発言ではあるけれど、ああ言えばあの女の子たちも気分良く退散してくれるから。彼なりの私への配慮なんだと思う。
菊川くんといい掘田くんといい、カッコいいのにこれだけ優しいのは本当に罪だ。
そしてそんな2人に昼休みのたった数十分間で出くわしてしまう私って、いったいなんなんだろう。
「ありがとう、庇ってくれて」
でも、会ってしまったものは仕方ない。助けてもらったのだって事実だし。
そう思って素直にお礼を言うと、掘田くんはいつもの調子でヘラリと笑った。