「……へぇ。想像以上だな」
菊川くんが何か言った気がしたけれど、うまく聞き取ることはできなかった。
「わかったよ。じゃあ、はい。あとは頑張ってね」
「うん。本当にありがとう。助かりました」
やっと菊川くんから段ボールを受け取ると、彼にお礼を告げて、私は資料室の中に入った。
良い人だったな、菊川くん。
まともに話したのは初めてだけど、これなら飛鳥くんを任せられる。……とか、言ってみたり。
埃っぽいその部屋の中は、物がごちゃごちゃあって、どこになにをしまえばいいのかさっぱりわからなかった。
空いてる机の上に、ドサっと段ボールを置く。
「ここでいい……よね」
同じようにたくさん物が入った段ボールがいたるところにあるのを見る限り、きっと絶対的な収納場所がないと見た私は、そのまま資料室をあとにした。