拗ねてる飛鳥くんを思い出してクスクス笑ってると、ジトッとこちらを見てくる菊川くんの視線に気がついた。
「……すごいな」
「え?」
なぜか目を丸くして感心したようにそう呟く菊川くん。
「あの飛鳥をそんな風に言えるの、佐藤さんくらいだよ」
「え、そう?」
「そう?って……。すごいな、飛鳥は」
菊川くんがさっきから何を言おうとしてるのかがさっぱりわからない。
どこの話の流れで飛鳥くんがすごいって話になるんだろう。……そりゃ、飛鳥くんはいろんな意味ですごい人だけど。
結局階段を登りきって資料室に着くまで、私の頭ははてなマークでいっぱいで、菊川くんはクスクスと笑っていた。
「ごめんね、最後まで持ってもらっちゃって」
「ううん。女の子にこんな荷物持たせるなんて、先生も鬼だよ」