-「すみませんでした」

冬羽は歩夢に頭を下げた。

「いやいや、謝らなくちゃいけないのはこっちさぁ。
ミュージシャンにやけどを負わせてしまって…」

「大丈夫、どうって事ないよ」

「七宝を守ったのはどうして?」

「女の子に、やけどを負わせるわけにはいかないよ。
七宝、手首にリストカットの傷跡があるでしょ?
やけどまでさせたら可哀想」

「可哀想…それだけ?」

歩夢はジッと冬羽を見る。

「…ううん、七宝が好きだから気付いたら行動してた」

照れたように冬羽は笑う。

「そうだと思った。
メンバーの1人ならわざわざ沖縄まで来ないさぁ」

「歩夢にはバレてたか…」

「皆、知ってるさぁ。
知らないのは七宝だけ」

「俺、七宝のところに行ってくる」

冬羽の言葉に、歩夢は笑った。