「あたしの携帯の着メロ、初期設定のままだって」

愛智の言葉に、七宝はあきれて、冬羽はずっこける。

「知ってるよ、そんな事。
他にも歩夢が言ってた事、あるでしょ?」

「あ、それなんだけど、CDを出してみないかって、音楽プロデューサーから電話があったみたい」

「それ、初期設定の着メロより大事な事さぁ。
よかったね、愛智ぃ」

「やっとさぁ…。
正直、長かったさぁ」

愛智は目に涙を浮かべている。


-ある日の事、

『なんかさ、体調が悪いから病院に行きたいんだけど、美雨、見ててくれないかな?』

声が低く、体調が悪そうな愛智から電話があった。

「いいよぉ。
…風邪?声がひどいね」

『今朝からなの…。
冬羽にもお願いしておいたから、2人で美雨を見ててほしい』

「わかった」

『じゃあよろしくね』

愛智との電話を切るとすぐに愛智の家に行った。