「もしもーし」

『さっき、音楽プロデューサーから電話があってさ、うちでCDを出さないか、って』

「わ~、やったじゃん!
ところで、あたしの携帯の着メロ変えた?」

『変えてないさぁ。
あんた、いつもそんな事言って、ボケたんじゃないの?』

「あれ、いつも言ってる?」

『いっつもさぁ』

うんざりしたように、歩夢が返す。

『あんたの携帯の着メロは、初期設定のままさぁ』

「そうだった?
ごめ~ん」

歩夢はため息をつくと、電源ボタンを押した。

「聞いて」

愛智が珍しく、歌詞を書くのを止めて言った。