咲姫が戻って来ると、奏多が七宝の髪の毛を優しく撫でていた。
七宝も嬉しそうに笑っている。
それを見た瞬間、咲姫に怒りの感情が現れた。

咲姫は奏多と付き合っている。
七宝は、咲姫から安純を奪い、奏多まで奪おうとしているのかと思ったのだ。

「七宝、ちょっとこっちに来て」

咲姫は七宝を呼んだ。
不思議そうにしながらも、七宝は来た。

「あたしね、奏多と付き合ってんの！」

「…え」

「奏多まであたしから奪わないで！」

咲姫はそう言うと、泣き出してしまった。

「咲姫、どうした？」

咲姫の泣き声に気付き、奏多が駆け寄って来た。
躊躇なく、咲姫を抱きしめる奏多を見て、七宝の胸がズキズキと傷んだ…。