「七宝、どうしたの?」

「七宝、じゃんけんに負けて、ハードル走になったんだよ」

海渡が七宝が出る種目を言うと、涼香と龍一からは笑顔が消えた。

「え、何なに、どうしたの?」

海渡の問い掛けに、龍一と涼香は顔を見合わせると、

「七宝、中学生の陸上競技大会のハードル走で足を引っ掛けて転んで以来、ハードル走は最後まで走れないんだ」

「それを思い出すんだよね、きっと。
途中から顔色が悪くなって走れないの」

何も知らない海渡と陽花に話をした。

なんとなく、その場が暗くなるのを感じた七宝は、無理矢理作った笑顔で、

「でも頑張るよぉ」

笑った。