翌日、海渡は、七宝とお揃いのカメのキーホルダーを鞄につけて学校へ行った。

「海渡、これなあに?」

クラスメイトの飯野 陽花(いいの はるか)が、興味津々に、海渡のカメのキーホルダーをつついた。

「昨日、好きな子と水族館に行ってさ、お揃いなんだよね」

嬉しそうに海渡は笑う。
その時、ズキンと陽花の胸が痛んだ。

「そう…なんだ。
好きな人ってどんな人?」

「変わった名前で、歌が上手くて、可愛い」

「見てみたいな」

「もうそろそろ学校に来る頃だから行ってみる?」

「うん!
見たい」

陽花が頷くと、

「こっち」

海渡は陽花の手を取り、玄関に向かった。