一方、七宝は、海渡と一定の距離を保ちながら水族館の中を歩いていた。

「七宝、はぐれちゃうから手繋いでて」

海渡は、慣れた様子で、七宝に手を差し出す。
おずおずと七宝は手を出す。
それをしっかりと握る海渡。

海渡は好きな人がいるのかな…。
そう考えると胸が苦しくなった。

世羅(せら)への想いは、世羅が兄とわかると、消えてなくなり、今は、海渡が好きなのだが、なかなか好きと言えないでいる。

海渡と手を繋ぎながら、館内を回る。

「七宝!
今日の記念にこれ、買って帰らない?」

海渡は、カメのキーホルダーを七宝に渡した。

「これ、お揃い」

「いいね!
じゃあ、龍一たちの分も買って4人でお揃いにしようよ」

七宝が提案すると、

「その必要はないんじゃない?」

少し冷たい口調で、海渡が言う。