毎度冷淡で涼しげな彼女の眼に、熱が宿っていたように思った。

他のアイドルのステージを見るときはそれほど真剣になるのか、とそんな思考を働かせていた気がする……。

「あ、“Venus”のステージが始まる」

傍らの海の呟きで我に返る。

ぱっと顔を上げるとまさに、曲が流れ出したところだった。“誘惑”。

なまめかしいピアノの旋律に少女二人の声が合わさる。

──背筋がぞくりとした。

踏み出す一歩、指先の仕草、向ける視線、一つ一つが妖艶で──。

同い歳だなんてにわかには信じられない。

「えっろ……」

露骨な反応を漏らしたのはアサヒ──朝火だが、つまりそれだ。