あれから結局、高梨くんは私に何も聞かずに
家まで送ってくれた。

家に帰っても食欲もわかなかったから、
お風呂に入って、すぐにベットに潜った。

朝、目が覚めると昨日の涙が嘘のように
目の腫れは完全に治っていた。

朝食を食べ終わり、家を出て
学校に向かっていると
たまたま高梨くんと遭遇した。

「あ、高梨くんおはよう。昨日はごめんね。ありがとう」

と声をかけると、高梨くんは
「あ、日野さん。大丈夫だよ。」

と笑顔で言ってくれた。

高梨くんはクラスの中でもおとなしめで
頭が良い。顔は少しかっこよくて身長は
175くらいかな?
まぁ正直言えばあまりモテない。

でも、実は私は前に1度だけ高梨くんに
ドキッとしたことがあった。

その時はなにもわからなかったけど、
春真に恋をしていた今ならわかる。

私、昔は高梨くんが好きだったんだ。

正直今もドキドキしてる。
私って切り換え早すぎかな?

高梨くんが好きだ

そう思った。

教室に入ると、春真がきた。
「あおい、ほんっとにありがとう!
今度なんかおごるよ!」

昨日の私なら嬉しかったこの言葉も
今は別になんともない。

ほんと、好きって気持ちってある日突然
変わるもんなんだなぁ。

お昼になると、春真が
「なぁあおい、今日ひなたとお昼食べるから
あおいもこねぇ?」
と誘ってきた。
だが私は
「あ、私は大丈夫。ひなたとお昼楽しんでね。」
と言い、高梨くんのもとへ向かった。

「あのさ…高梨くん。お昼、一緒に食べない?」
と言うと高梨くんは
「え?あ、もちろん!」
と言ってくれた。

私たちは、お弁当を持って、
人がいない体育館裏へ行った。

「あのさ、高梨くん。昨日はごめんね。
実はね…」
と高梨くんになんで泣いていたかを話した。

すると高梨くんは
「話してくれてありがとう。
でも日野さんは、そんなに松井くんが好きだったんだね」
と言った。

だから私は
「私ね、春真は好き。
でも今は友達として好きなんだ。

ねぇ高梨くん。私ね…」

言っている途中に高梨くんが

「日野さん、僕、昨日日野さんが泣いているのを見てね、日野さんが、好きになったんだ。
良かったら僕と付き合ってくれませんか?」

高梨くんは私の目をみてそう言った。
気付いたら私は泣いていた。

すると高梨くんは
「ごっごめん!僕なんかと
付き合いたくなんかないよね!
今の忘れてくれて良いから!」

と言った。だから私は

「そうだよ。高梨くんのせいだよ。
もう!私も高梨くんが
好きになっちゃったんだよぉぉぉぉ」

と泣きながら言った。
すると高梨くんは驚いた顔をしたけど、
昨日のように、また

黙って私を抱きしめてくれた。