彼らに抗うためには自分一人では無理がある。
それならばとお酒や薬の力を使うが、
今度はその時の記憶にない自分が怖くなる。
が、背に腹は替えられないので寝るために毎日のまれるようになる。
薬やお酒のおかげで見えないものに怯える。
彼らはずかずかと僕のスペースに入ってきては
耳元で何かを囁き続ける。
自分の声だとも気付くこともなく、ずっと囁き続ける。
それが煩くて煩くて仕方がない。
助けてくれ、ここから彼らを連れ出してくれ。
ムンクの『叫び』から聞こえてくるような声で
必死に。
親はもちろん子供を心配し、声をかける。
神にも悪魔にもなりうるそれは僕から薬やお酒を
遠ざけ、叱る。
神、否、悪魔である。
何も分かってはいないただただ邪魔な存在であると感じる。
親に見放されたと感じた子はさらに塞ぎ込む。
木の壁に頭で釘を指す。
ゴンゴンという音に救われながら。
僕は見放されたネズミさながら、
家の中でもネットの中でも、社会に出てもさまよい続ける。
全ての糸が切れてしまってはもう後戻りはできない。