乾いた体液の音が響く。
白く華奢な体を舐め回され,舐られる。
一瞬、男性の体が大きく跳ね体内のモノが
細かに脈を打つ。奥深くに,白濁の液体を
吐出させられ、やっと、終わる。

「今日も...良かったよ。紗良ちゃん。
ええと、今回は本番ありで2枚だったよね」

手際よく男性が財布から金銭を差し出す。

「んな、みみっちぃ金いらねーよ。
財布本体を寄越せおっさん」

紗良は男性の手に持たれていた財布を
ひったくり一万円札のみ取り出した。

これが、紗良の仕事。

日ごとに男性に体を差し出し、本番ありや
オプションなど細かく取り分けて金銭を
要求する。その日支払われたお金が、
紗良の収入であり母への献上金となる。

「...なぁ、おっさん。
学校って、どんなとこ?」

紗良はふと、自身の疑問を明かした。

「学校?そうだな...。同い年の子達と
勉強したり体を動かしたりして、社会に
出るのに必要な知識を学ぶとこだよ。
その中で友達を作ったりしていくんだ。」

「友達...。」

情事を終えた自分の体を眺め、呟いた。
瞳にはうっすらと涙が溜まっている。

カーテンの間から漏れ出た太陽の光は、
その涙を輝かせ、いとも儚げな少女を
紗良に演出させていた。

「じ、じゃあ、僕はこの辺で帰るよ。
また次回もよろしく、紗良ちゃん。
あと学校のことなら手続きが大変だから
お母さんに相談してみたら?」

妻子持ちだという男性はそそくさと
帰ってしまった。きっと今日も会社に
行ったフリをして、妻を騙して来てまで
紗良の所に通っていたのだろう。


紗良は、その夜母に学業への興味がある事
を打ち明けてみた。結果は、酷いものだった。

「学校?うちに、そんな金あるわけないだろ!
通いたいなら自分の体で稼いで行け!ろくな
金額稼げない無能のくせに贅沢な子だ!」

腹部を蹴られ、頭を殴られ、転んだ先では
顔や手足に大きく痛々しい痣を作った。

テレビに映るキラキラと輝かしい青春を
存分に楽しむ学生たち。テレビの中の
学生たちは、紗良のたった唯一の、
それでいて悲しい現実を叩きつける様な
残酷な理想だった。