おかあさんは私が学校から帰ってきたときは
明るい顔をしてるけどほんとはわかってたの。
おとうさんはおかあさんと別れたいってことぐらい。
私はあのころ小さかったよ。でもそのぐらいはわかる。
現実を知るのが怖くて、現実から逃げた。
現実非難―
あの頃の私にはこの言葉がぴったりかもしれない。
怖くて、おにいちゃんにもいえなかった。
あの時、おにいちゃんにでも言っていたら?
変わってた?未来。
考えたくない!!
でも無意識に頭をよぎってしまう。
なんでもないときにさ。授業聞いてるときとかケータイいじってるときとか。
考えちゃうの。
「紗矢?どうした?」
私は現実に戻った。
おにいちゃんが心配そうにこっちを見てる。
心配は―かけられない。
「ううんなんでもない」
私は精一杯笑っていった。
「なんかあったんだろ?話してみな」
私はこのことをおにいちゃんに話してみることにした。