「あ、それよりさ、今日一緒に帰らない?」

「えぇ?」

なんと珍しいこともあるものだ。

実は、恵とは優実とは中学が一緒なのだが、高校に入って、恵は変わってしまった。

いわゆる高校デビューというやつで、外見は羽出になり、付き合う友達も変わっていた。

それゆえ、私達は疎遠になっていたのだが…

「でも私今日部活があるんだよねー。」

真っ先に断りをいれたのは優実だ。

「そっかー。

じゃあ、みのちゃんは?」

みのちゃんなんて久しぶりに呼ばれたなー。

「あー、私は委員会があって…」

「えー、みのちゃんもダメなの?」

恵があからさまに不服そうな顔をする。

「うーん、ごめんね?」

中学の頃の恵は好きだった。

だけど、今の恵はあまり好きじゃない。

だって、平気でいじめをするようなグループにいるから。

「でもね、最近怖い噂があって…」

「噂?」

「うん…午後16時44分に、武山公園の前を通ったら、『許さない』って声が聞こえるんだって…

皆は武山の方じゃないから…みのちゃん達にしか頼めないの!」

「なにそれ、ないない。」

昔からこのての話が大嫌いな恵は本気で怖がっているようだ。

だけど、私だって武山の方じゃないから面倒くさい。