「白井君は素直で優しくて格好良くて素敵で、そんな白井君が大好きなんだよ!!」

と、馬鹿でかい声で泣き喚いた私は、硬直していた白井君が我に帰った瞬間に立ち会った。真っ赤になって慌てて私の手を引いてどこかへ向かう彼。

周囲にはちらほらとまだ残っている人が居て、きっとみんな私達のやり取りを聞いてたし見ていた。連れられて歩いてるうちに頭が冷えて気が付いた。やらかしたのだ。根暗で陰気な私のような奴は溜め込み過ぎると爆発する。それが今、一番甘えたい人の優しさを前にして爆発した。やってはいけない時に派手にやってしまった。

「……」

消えてしまいたい…



連れられるままに歩いて着いた先は、体育館裏だった。頭が冷えて冷静さを取り戻した私。周囲の状況にあれ?と違和感を持つ。

「…あの、白井君。部活は?」
「今日からテスト週間」
「あぁ。だから部活の人居ないんだ…」

体育館の静けさにどう考えても空っぽ状態なのが分かるし、白井君だって流石に部活の前ならこんなに時間を使う訳にはいかないはず。と、思ったらのテスト週間。無所属の私にはいつもと変わらなすぎてすっかり気付かなかった。
じゃああの暴露を見聞きしていた人も最低限には収まったという事か…なんて、流石にそれは軽い現実逃避だ。本当に気まずい。耐えられない。

「ご、ごめんね白井君…」
「何が?」
「だってこんな事になってしまって…どうお詫びをしたらいいのか…」
「こんな事って?」

はい?と、聞き返してくる白井君を改めて見つめ直した。まさかこの騒動になんとも感じていないのかと。そんな訳はないだろうと。すると白井君は私の視線を受けてどこか慌てたように瞳を揺らし、「えっと、」と、口を開く。

「大丈夫。分かっててやった事だから」
「…え?」
「今日なら相原さんと話せるって、絶対今日話すって俺が勝手に決めてやった事だから。だからテスト週間なのに早く帰れ無い事は問題ないよ」

これに私はもう一度、はい?の視線を彼に送る事になった。ズレてる。白井君はズレている…