マンションの内装をあちこち観察していると、


「…貴女はおのぼりさんか何かですか」


お鳳に呆れられた。…解せぬ。


そして、成瀬がこの階にやはりひとつしかないドアを開けた瞬間、奥の部屋から走ってくる足音が聞こえ、

「リョウくん!おかえり!」

その声と同時に成瀬の体に何かが抱き着いた。その正体はサクラだった。様子を見る限りでは、このふたりは恋人同士だな。ふと成瀬の顔を見ると、極限まで緩んでおりこいつ誰状態になっていた。…見なきゃ良かった。わたしが成瀬の顔にドン引きしていると、


「…そこのバカップルいつまでそうしているんです?それとリョウガ、その顔やめなさい神楽さんに引かれてますよ」

と、鳳がぶった切った。鳳によれば、このカップルは毎日のようにこのような光景を繰り広げているそうだ。